暖房器具の電気代を徹底比較！上手な節約方法や使い方も解説

暖房器具には、大きく分けて2つのタイプがあります。
一つは、温めた空気を送り出し部屋全体を暖かくするエアコンや、オイルヒーター、ファンヒーターなど。もう一つは、体を直接温めるこたつや電気毛布などです。ここからは、それぞれの暖房の特徴を紹介します。

エアコンは、温めた空気の風を送り部屋全体を暖めます。部屋全体を温めるまでに少々時間がかかりますが、一旦、設定温度になると暖かさは安定し、温度をキープする事が可能です。また、エアコンはやけどの心配もなく安全性が高いという特徴があります。

オイルヒーターは、暖かい風を出すわけでなく、「フィン」と呼ばれるパネルを温めることで、空気をゆっくり温めます。フィンの中には、オイルが入っており、そのオイルを温めることで、フィンが約60～80℃に温められ、その暖かさが部屋全体に広がっていきます。

部屋全体を温めるには時間がかかりますが、デスクの足元やソファ周りなどのピンポイントの暖房に向いています。また、オイルやガスなどを燃やしているわけではないので、空気を汚さず、静かなうえ火傷の心配が少ないため、小さなお子さんや、お年寄りのいる環境で好まれます。

オイルヒーターの特徴を更に詳しく知りたい方は、「オイルヒーターのメリット・デメリットは？注意すべき特徴とおすすめポイント」の記事をご覧ください。

パネルヒーターもオイルヒーターと同じように、パネルを温める暖房器具です。部屋全体を温める大きめのタイプから、冷えやすい足元や手先などをピンポイントで温めるコンパクトタイプまであります。

コンパクトタイプであれば、トイレや脱衣所などのちょっとした空間にも使用できます。表面温度は約50～80℃が一般的です。パネルヒーターも空気を汚さず、安全に使用できるため、安全性を重視したい人におすすめです。

電気ストーブは、電気によって加熱するヒーターによって、暖める暖房器具です。熱源の種類によって、ハロゲンヒーターやカーボンヒーター、ニクロム線ヒーターなどがあります。

電源を入れてから、温まり始めるのが早いのが特徴であるため、デスクの足元が冷えるときや、トイレや廊下など寒い場所でスポット的に暖を取りたい場合に向いています。

ただ、ストーブ前面にあたる場所を温めるのは得意ですが、広い空間を暖めるのは不向きです。

セラミックファンヒーターや石油ファンヒーターは、熱源から発せられた熱気をファンによって、送り出す暖房器具です。熱源に電気によって発熱するセラミックを使用しているのがセラミックファンヒーターで、石油を燃焼させて熱を利用しているのが石油ファンヒーターです。

セラミックファンヒーターは、電気で発熱するため、すぐに暖かい空気を出すことができます。石油ストーブは、部屋全体を暖めるパワーがありますが、灯油を燃料とするため、給油する手間がかかるうえ、換気が必要になります。

こたつは、くつろぎながら手足を温めることができ、テーブルがあるため、食事や勉強時にも使えます。家族や友達との自宅パーティーなどでも、こたつを囲んで団らんする方も多いのではないでしょうか。

テーブルについている小さいヒーターを布団で覆って熱を逃がさないようにしているため、保温性がありその分電力を抑えられています。また、夏は座卓として使えるのが、他の暖房機にない特徴です。

ホットカーペットと電気毛布は、触れている部分が暖かくなり、直接体を温めます。そのため他の暖房器具と併用して使われることもあります。

ホットカーペットは床からじんわり来る暖かさが特徴で、足元の冷えもなくなり、ゴロゴロしてくつろぐのに適しています。電気毛布は冷えるところに掛けて、ピンポイントで体を温めることができます。睡眠時に使用すると、暖かく快適に眠れます。

暖房器具の購入を検討する際に気になるのが電気代です。
「消費電力（kWh）×電気料金の単価（円/kWh）」で1時間当たりの電気代を計算できます。

今回は電気代の算出に使う消費電力の単価は「31円/kWh（全国家庭電気製品公正取引協議会の目安基準）」で計算します。
※「○円/kWh」は1,000kWを1時間使う場合の電気代を表しています。

電気料金の単価は、電力会社によって異なるため、より正確に計算する場合は、お住いの地域の電力会社のホームページなどで確認が可能です。「●●電力　kwh　単価」で検索してください。

1日にどれくらいの時間、暖房を利用するか算出する必要がありますが、在宅ワークの場合と平日昼間は不在の場合では、暖房時間が大きく異なります。

・（仮定条件）平日は朝1時間と帰宅後18時～23時まで利用、土日は8時～23時で利用
　6時間/日×22日（平日）　+　16時間/日×8日（土日）　＝　計260時間

・（仮定条件）平日、休日とも7時から23時まで利用
　1日16時間使×30日で　＝　計480時間

これらの時間の想定で、暖房器具の電気代をまとめると次の通りです。

エアコンは部屋全体を温めるため、一見相当な電気代がかかりそうですが、一旦設定温度になるとそこから温度をキープするための消費電力は下がりますので、暖房効果が大きい反面電気代が安いというのが特徴です。

ここでは、主に6畳用で使われる、「最小消費電力が110W、最大消費電力が1250Wのエアコン」をモデルに電気代を計算します。時間当たりの電気代と月当たりの電気代をそれぞれ算出していますので参考にしてください。

110W÷1,000×31円/kWh＝約3.4円/時間
1,250W÷1,000×31円/kWh＝約38.7円/時間

1時間当たりの電気代は3.4円～38.7円になります。ずいぶん差がありますが、寒い部屋を設定温度にするまでに最大消費電力を使った後、暖かい温度をキープする場合は、少ない消費電力で稼働します。

部屋の気密性などの使用状況により消費電力が異なりますが、一般的には1時間当たり12円～16円かかります。

ひと月あたりにすると、
昼間不在の場合　12円～16円×260時間＝3,120円～4,160円
昼間も利用する場合　12円～16円×480時間＝5,760円～7,680円
が電気代の目安となります。

オイルヒーターは、3～5段階の温度設定が可能な製品が多く、温度設定の違いによる、消費電力は約500W～1,500Wです。1時間あたり15.5円～46.5円になります。

1時間あたりの計算式は下記の通りです。
500W÷1,000×31円/kWh＝15.5円/時間
1,500W÷1,000×31円/kWh＝46.5円/時間

ひと月あたりにすると、
昼間不在の場合　15.5円～46.5円×260時間 ＝　4,030円～12,090円
昼間も利用する場合　15.5円～46.5円×480時間 ＝　7,440円～22,320円
が電気代の目安となります。

オイルヒーターは、エアコンのように部屋が暖まったら、省エネで運転するようなことができないため、他の暖房器具に比べると電気代は高くなります。

パネルヒーターは、サイズや設定温度の調整などにより、消費電力が変わってきて、130W～1,200Wです。1時間あたりの電気代だと、4.0円～37.2円になります。

例として、次の3パターンで1時間あたりの電気代を計算します。

ミニサイズ：130W
通常サイズ（設定温度弱）：500W
通常サイズ（設定温度強）：1,200W

ミニサイズ：130W÷1,000×31円/kWh＝4.0円/時間
通常サイズ（設定温度弱）：500W÷1,000×31円/kWh＝15.5円/時間
1通常サイズ（設定温度強）：,200W÷1,000×31円/kWh＝37.2円/時間

ひと月あたりにすると、
昼間不在の場合　4.0円～37.2円×260時間 ＝　1,047円～9,672円
昼間も利用する場合　4.0円～37.2円×480時間 ＝　1,934円～17,856円

電気ストーブと一言でいっても、熱源によって、ハロゲンヒーターやカーボンヒーター、ニクロム線ヒーターがありますが、どの製品も温度設定が可能なモデルがほとんどです。2～3段階での設定が可能で、400W～1,200W程度の消費電力となります。1時間あたりの電気代にすると、12.4円～37.2円です。

400W÷1,000×31円/kWh＝12.4円/時間
1,200W÷1,000×31円/kWh＝37.2円/時間

ひと月あたりにすると、
昼間不在の場合　12.4円～37.2円×260時間 ＝　3,224円～9,672円
昼間も利用する場合　12.4円～37.2円×480時間 ＝　5,952円～17,856円

セラミックファンヒーターではどうでしょうか。強弱の切り替えがある機種で消費電力が600～1,200Wの場合、1時間当たり18.6円～37.2円になります。

600W÷1,000×31円/kWh＝18.6円/時間
1,200W÷1,000×31円/kWh＝37.2円/時間

ひと月あたりにすると、
昼間不在の場合で　18.6円～37.2円×260時間 ＝　4,836円～9,672円
昼間も利用する場合は　18.6円～37.2円×480時間 ＝　8,928円～17,856円

石油ファンヒーターは、点火時に電力を使用しますが、燃焼時は20Wほどとごくわずかです。
1時間あたりにすると1円に満たない金額になります。
20W÷1,000×31円/kWh＝0.62円/時間

ひと月あたりを計算してみると
昼間不在の場合　0.62円×260時間＝約141円
昼間も利用する場合　0.62円×480時間＝約297円
電気代は数百円で収まりますが、灯油の価格により暖房費が左右されることになります。

ガスファンヒーターも石油ファンヒーター同様に、燃焼時はファンを回すために電気を使用するのみなので、20Wほどのごくわずかな消費電力です。

、石油ファンヒーターと同じであるため、1時間あたりの計算式も
20W÷1,000×31円/kWh＝0.62円/時間
となり、1円に満たない金額です。

ひと月あたりの計算も
昼間不在の場合　0.62円×260時間＝約141円
昼間も利用する場合　0.62円×480時間＝約297円
で電気代は安く抑えられますが、ガス料金が別途掛かります。

こたつは布団で空間を囲い、ごく狭い空間を温めています。そのため消費電力の目安は100～300W程度と控えめです。

1時間あたりの電気代は、3.1円～9.3円となります。
100W÷1,000×31円/kWh＝約3.1円/時間
300W÷1,000×31円/kWh＝約9.3円/時間

ひと月あたりの電気代は以下のようになります。
昼間不在の場合　3.1円～9.3円×260時間 ＝　806円～2,418円
昼間も利用する場合　3.1円～9.3円×480時間 ＝　1,488円～4,464円

足元を温めるホットカーペットは床からの冷えを解決してくれる強い味方。部屋を使う人数や敷く場所に合わせて大きさを決めましょう。
消費電力は、1畳用で200W。2畳用で300W。3畳用で400W程度です。

1時間あたりの電気代は、6.2円～12.4円となります。
1畳用200W÷1,000×31円/kWh＝約6.2円/時間
2畳用300W÷1,000×31円/kWh＝約9.3円/時間
3畳用300W÷1,000×31円/kWh＝約12.4円/時間

ひと月あたりの電気代は以下のようになります。
昼間不在の場合は
1畳用6.2円×260時間＝1,612円
2畳用9.3円×260時間＝2,418円
3畳用12.4円×260時間＝3,224円

昼間も利用する場合は
1畳用6.2円×480時間＝2,976円
2畳用9.3円×480時間＝4,464円
3畳用12.4円×480時間＝5,952円

電気代を抑えて暖かく過ごすためのポイントは、暖房器具の特徴に合わせて使用することです。暖房器具をうまく使うことで、いつもいる場所をより快適にし、家族や人が集まる場所を低コストに暖かく保つこともできます。

電気代を節約するためには、場所や目的に合った暖房器具を使用することが大切です。これまで紹介してきた暖房器具は、それぞれ適した使用場所や、目的があります。
広いリビングを暖めるのに、エアコンを利用すれば、部屋全体が暖まりますが、もし電気ストーブを使っていたら、なかなか部屋全体は暖まりません。

暖房器具ごとに適した場所や、目的の代表例をまとめると次の通りです。

暖房効率を上げるために例えば、エアコンとこたつ、エアコンとホットカーペットなど暖房器具を併用するのがおすすめです。
例えば、こたつやホットカーペットで足元を温め、エアコンの設定温度を低めにすることで、頭は涼しさでクリアになり、仕事や宿題をする環境に向いています。
また、人が集まるリビングではこたつを使用するのもおすすめです。食事やくつろぎタイムに、こたつに家族が集まりコミュニケーションの場所にもなります。
人がいる場所をピンポイントで温め、エアコンの設定温度を下げることを心がければ、節約につながります。

また、個人の部屋など人が少ない場所の場合は、電気ストーブや電気毛布を使って、自分の周りは暖かい状態にしていれば、エアコンの温度を下げても体感温度は寒く感じないため、電気代を節約することもできます。

暖房器具を購入する際には、「省エネ製品」を選ぶようにすると、電気代を節約できます。
古い暖房器具だと、電気を熱に変える、変換効率が悪いものが多いため、思った以上に電気代がかかってしまうことがあります。最新の省エネ製品であれば、変換効率が良かったり、暖まり具合によって、余分な運転をしなかったりと、電気代が安くなる工夫が搭載されています。

省エネ製品は、他の製品よりも値段は上がる傾向がありますが、長期間使用することを考えると、電気代を節約できるため、お得になります。

省エネエアコンについて詳しく知りたい方は、「おすすめ省エネエアコン9選！電気代を節約する使い方も解説」の記事をご覧ください。

暖房器具の電気代について説明してきましたが、ここからはそれぞれの暖房器具のおすすめモデルを紹介します。暖房器具選びにぜひお役立てください。

最初に紹介するのは、部屋全体を暖めたい場合におすすめの暖房器具です。部屋全体を暖めるなら、エアコンがおすすめです。エアコンは設定温度になると消費電力が減るため、節約という点から見て効率のいい暖房器具と言えます。エアコンを選ぶ際は、部屋の広さに対して小さすぎても大きすぎてもムダな電力を使ってしまいますので、部屋の大きさとエアコンの消費電力のバランスにご注意ください。

また、エアコンの電気代の節約ポイントは、サーキュレーターや扇風機で部屋の空気を循環させることです。上部にたまりがちな暖かい空気を足元まで循環させられるので、電気代の節約につながります。

次に紹介するのは、部分的に暖めたい方におすすめの暖房器具です。スポットで暖められるため、他の暖房器具と合わせて使ったり、手足だけを重点に暖めたりするときに使用すると、効率よく体を暖められます。おすすめのホットカーペットと、電気毛布を紹介します。

電気毛布は、冷えを感じる場所を覆い、直接温めてくれます。寒いときや冷えが気になるときに、さっとひざ掛けに。また、お昼寝タイムには体にかけての使用にとても便利です。時間当たりの電気代が安いのも手軽に使えるポイントです。

寝るときに重視したいのは、部屋を乾燥させずに暖められることや、電源を入れてからすぐに寝室が暖まることです。
オイルヒーターであれば部屋を乾燥させず温めることができ、セラミックファンヒーターであればすぐに部屋を暖められます。

ここからおすすめのオイルヒーターとセラミックファンヒーターを紹介します。

お休み時にベッドまわりを温めて使えるセラミックファンヒーターは、暖かい空気をファンで送り出すため、温風が出てくるのが早いのが特徴です。ベッドに入ってからのスマホや読書に。眠るまでのひと時の暖房におすすめです。

今回の記事では、暖房器具の種類や特徴を説明し、それぞれの電気代がおおよそいくらかかるかの目安をお伝えし、節約方法について解説しました。
暖房器具を効率よく使うためには、使う場所や用途に合わせた暖房器具の使用や、複数の暖房器具を組合せて使用するのがおすすめです。
記事の最後に紹介した暖房器具も参考にして、厳しい寒さでも、快適な生活ができる環境を整えて行きましょう。